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誓い

幼い子が腹痛をうったえる時など、「ポンポンが痛い。」と言う。
もちろん私は大人だから腹を”ポンポン”等と言うわけがない。
しかし腹を叩くと、”ポンポン”と響いたよい音がする。

妙薬呪文も大きな効果はなく、我がポンポンは育っています。

やべぇな、身体が重いよ。




    


水でも飲んでろって話だな。  

5キロ減量を誓います。

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2019-05-20 : 雑記と余計な話。独り言。 : コメント : 2 : トラックバック : 0 :

和三盆と梅雨明け宣言

気象庁からの梅雨明け宣言がないまま首都圏は二日連続の快晴と共に猛暑となった日の午後。

藤沢市の高校に在学している達也と未来は放課後 少し回り道をして江ノ島に遊びに行くことで意見が一致 それは特別な意味は無く二人にしてみるといくつかあるデートコースの一つを選択しただけなのだ。

弁天橋を渡り左右に在る土産物屋やお休み処を冷やかしながら 細い坂道を登るとやがて江ノ島神社の赤い鳥居が見えて来る。


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有料で上まで乗せてくれる「エスカー」を選ばずに参道の階段を二人が上り始めると 今までの青い空が嘘のようにきゅうに暗くなり大粒の雨が音を立てて降り出してきた。
慌てて近くの社務所の軒先に逃げ込んだ二人はしばらくの間の雨宿り。

「嘘だろ 天気予報ぢゃ雨が降るなんて一言も言ってなかったぞ。」
頬を膨らませながらシャツの肩の辺りを叩いている達也の横顔を見ながら笑っていた未来が、
「そうだ いいものが有るんだ、食べる?」
と言い 鞄の中から和紙に包まれた小指の先ほどの菓子を取りだして達也の手のひらに置いてくれる。



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「あれ、和三盆かよ? 俺けっこう好きなんだ。」達也が嬉しそうな顔をして和三盆を口に入れ、「未来の家で法事でもあったのか?」と止む事の無さそうな雨を見ながら聞くと、
「うん、そうだけど…  なんで達也が知ってるの?」
眉毛と眉毛の間にしわを寄せ未来は達也の顔を怪訝な表情でのぞき込み聞き返すのであった。

達也に言わせると”眉間のしわは未来の可愛い癖”というものらしく、彼はじっさいテストが終わり教室から出てきた未来の”眉間のしわ”を見て彼女のテストの出来を言い当てるのが得意なのである。
未来は分からないと眉間にシワを寄せるから、だそうだ。

達也が「しわ!」といいながら笑って未来の眉間を指差す手を払いのけ未来はもう一度おなじことを聞いた。「なんでわかるの?」

「ほら 包み紙の端が緑だろ? これ慎んでますって事、目出たい時は赤 普通はピンクかなぁ お葬式なんかだと黒や灰色を使うだろ? 緑だから法事かな?って思ったわけさ。」

「へぇー凄いね、ピンポン!ピンポン!だよ。  まぁ爺ぽい知識ではあるけれどね!」
未来は笑いながら自分も和三盆を口に入れた。 おだやかな甘味が広がる。

「小さい頃 曾祖父さんの葬式で”長野の婆ちゃん”に聞いたんだよ。」
「へぇ 達也の田舎って長野なんだぁ」
「うん、お袋が長野の出身。小さい頃は毎年夏休みに行っていたんだ。」

いつの間にか遠く鎌倉方面の雲が割れて日が射し込み出し 先ほどまでの暑さが嘘のような涼しい風が江ノ島にふきだしてくるのがわかった。
達也の眼には青々と輝く稲穂の向こうで手を振る婆ちゃんの姿が涼しい風とともに浮かんでくるのである。
「今年の夏休みは婆ちゃんに会いに長野に行こうかな…」

「行ってこい! 婆ちゃん孝行してこいよ!この若年寄り!」と笑いながら達也の肩を叩く未来の眉毛からシワがいつの間にか消えていた。


翌日 湘南の海に大きな入道雲が現れ首都圏に梅雨明け宣言がなされことを達也が聞いたのは自室での受験勉強での合間 ラジオからだ。

熱い夏の始まりだ。




   
   



2019-05-16 : 一口話 : コメント : 10 : トラックバック : 0 :

”ぬた”の話。

”ぬた”を食べている慎二の顔をしげしげと見ながら、「あなたって本当に”ぬた”が好きなのよね、いつも嬉しそうな顔して食べて居るもの。」
と妻の小枝子は言いそして可笑しくて仕方ないといった顔をして笑うのである。


酢味噌で分葱やワカメを和えた酢の物を”ぬた”と称するのだが、”ぬた”の漢字は意外と知られていないようだ。
”ぬた”は”沼田”と書く。

これは三杯酢など透き通った酢の物に対して酢味噌が濁っていたり粘度がたかい事を”沼や田”と比喩して云われたようだ。

慎二がこの漢字をあてる事を知ったのはずいぶんと大人になり酒をたしなむようになった頃で ”その話”を聴いたときには高校時代の同級生である沼田和也を思い出したものである。

「惜しいことをしたな、高校時代に”この事”を知っていたら、和也に”ヌタ”とアダナをつけてやれたのになぁ  ”ヌタ”と呼んだら奴はどんな顔して怒っただろう?」
クリクリとした眼が愛嬌たっぷりな沼田和也の顔が思い出され、彼の怒った顔を想像すると慎二は可笑しくて仕方がなかった。
以来 ”ぬた”を食べるたびに和也の怒った顔が慎二の目に浮かんでくるのである。


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「むふっ」と口元をほころばせながら”ぬた”を噛み締めている慎二の顔を見ながら小夜子はまた笑った。
「やっぱり、貴方ってほんとうに”ぬた”が好きなのね。」
小夜子の声に慎二は、
「ああそうだな… ”ぬた”とは仲良かったんだぁ 久しぶりに電話してみようかな…」
と、嬉しそうに応えた。

こんどは不思議そうな顔をして慎二の顔をのぞき込む小夜子であった。








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2019-05-11 : 一口話 : コメント : 12 : トラックバック : 0 :

茄子の塩もみ 水芥子

克也は不意に自宅マンションに訪ねてきた旧友雅彦と昼酒をはじめた。

30数年前の学生時代と同じようにテーブルの上に一升瓶を置き、コップに酒を満たし冷やのままやっつけるているだけのことだ。
「おい!克也! 何かつまむものないか? 呑んでいるだけなのも少々辛い。」
克也は黙ってキッチンに行きガランとした冷蔵庫の中を眺めながら、
「なぁ 昔一緒にバイトした居酒屋の板長さん憶えてる? よく仕事が終わると板場の隅でひとりで酒呑んでいたでしょ。」
「おう、憶えてるよ あの人いつも茄子をつまみにしていたよな…よほど茄子が好きなんだろうと思って見ていたよ。」

雅彦の話を聞きながら克也は冷蔵庫の隅から茄子を取り出し それを慣れた手つきで薄く切り、水をはったボールに移し灰汁を抜き、その水をシンクに流してから茄子の薄切りに少量の塩を降り軽くもみ込みだした。

「ほれ!」


              


「板長さんに作り方を教わったんだよ、茄子の塩もみ水芥子添えって言うらしい。」
「へぇー いつの間に教わったんだ? ちょっと旨そうだな…」

「ところで幸ちゃん何時帰って来るんだよ? 実家に帰ってからもう2週間だろ? 電話して謝っちゃいな!」
「ああ。  そいつを食ったら下にラーメンでも食いに行かないか?旨い店が在るんだよ。」
「いいね 餃子もつけてくれよな、なんだか腹が減ってきた。」

克也は返事はせずに窓に映る鬱陶しい梅雨空を見ながら、
「茄子の塩もみかぁ  季語違いだよなぁ」と雅彦に聞こえないようにつぶやいた。

まだ雨はふってはいない。





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2019-05-09 : 一口話 : コメント : 12 : トラックバック : 0 :

鴨モツの山椒煮 お惣菜

俺はいったい何を食いたいのか。。。。

幾度か同じ事を呟きながら花岡 十太は天井の染みをぼんやりと眺めていたが、しばらくして意を決したようにベットから立ち上がり台所の方に力なく歩いて行く。

十太は単に食欲がわいてこない訳ではない、60歳を過ぎた彼は今 ”何を食べたいのか思いつかない”そこに大きな悩みがあるのである、腹は減るが 若かりし頃に好んでいた”食”に急激に興味を失いつつあるのだ しかしながら次の”好み”を見つけられない事に彼は苦しんでいるのである。

俺は何を食いたいのだろうか? 彼の思いはこの一言に尽きている。

冷蔵庫から近所のスーパーでパック売りされていた”鴨のハツ”と”鴨のレバ”を取り出し丁寧に血合いを掃除し、酒と砂糖、生姜 少々の鷹の爪そして冷凍庫の片隅で干涸びかけていた去年採った山椒の実を火にかけておいた鍋にそれをそっと入れ込んだ。
そしてしばらくの間 強火で鍋のなかの水気を飛ばしたあとに醤油を回し込み味を整えてから火を止め 味が染み込むのを待つ間に十太は急いで階下に自生している山椒から葉をむしり取ってくるのを忘れることはなかった。


    


鴨モツの山椒煮は特別に甘くもなく そして辛くもなく山椒の香りがどこかに残る普通のお惣菜として食卓に。

俺はこんなものが食いたいのかもしんないなぁ と呟きながら暗くなった窓の外を見ながら十太は濃いめに作った焼酎の水割りをグビリと喉を鳴らし一口飲んだ。遠くから救急車のサイレンが響いているのが聞こえてくる風のつよい晩であった。






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載せる写真がなくて江ノ島を引き続き。。。。汗


2019-05-08 : 一口話 : コメント : 8 : トラックバック : 0 :
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Author:いその爺
横浜在住。

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