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ナポリタンの歴史。完結編

“謎”を探して未開の土地を歩きたどり着いたナポリタン遺跡。

はやる気持ちを抑えながら扉を開いてみると、其処には“トマトケチャップ缶”が転がっていた・・・
既に謎の扉は他の“冒険者”により開かれていたのです。(笑


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謎の扉は1996年3月に雑誌『DANCYU』のなか、大石勝太氏により大きく開かれておりました。
その後2006年上野玲氏『ナポリタン』により扉を再び閉められてしまい暗闇に閉じ込められてしまったのが、私の4年にわたる“謎探し旅”に繋がったのかもしれません。

私の謎探し旅行記もそろそろ総集編を書かねばならないと用意をしておりましたが、先人の“冒険記”の前で披露するのは少々恥ずかしくもあり 前出『DANCYU』から大石氏の記事を引用をさせていただくことにいたしました。
全文引用は問題があるかと思い、一部。。否“ほとんど引用”という姑息な手段をもちいる事をお許し下さい。

引用中にアンダーラインを引き、関連資料としてリンクをはりました。
※印は未だネット上に載せていない資料を 同じく補足資料として本文下にのせておきます。
(補足など必要ない完成された文章なのですが。。。少しは自己アピールしたい事情を察してくだされ。苦笑。)

それでは、先ずは大石氏の“冒険記”をお楽しみください。




>以下『DANCYU 1996年3月号』から一部ほとんど引用


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隠れナポリタンフリークに捧げる
口を真っ赤にして食べた「ナポリタン」をめぐる大冒険
文・大石勝太  撮影・佐藤直也

子供の頃はスパゲティといえばナポリタンとミートソースくらいしかなかった。 特にナポリタンは今でもよく見かけるのになぜか妙に懐かしい感じがする。トマトケチャップでオレンジ色に染まったナポリタンがパスタとの出会いだった、というのは僕だけではないはずだ。

「ときどき喫茶店のケチャップたっぷりナポレタンが無性に食べたくなる。粉チーズとタバスコをいっぱいふりかけてね」 と白状した友人もいる。 隠れナポリタン・フリークは多いのだ。

中略

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日本におけるパスタの歴史はマカロニから始まった。明治20年、新橋にあった洋食店「東洋軒」のコックがイタリアから持ち帰ったのがその始まり、というのが定説になっている。 当時の料理書を見ると「饂飩またはマカロニを用い・・」 などとあるから、西洋ウドンとして扱っていたそうだ。

それでも、フランスやイタリアで修行した料理人などによって、本場の調理法も多少は日本に伝えられている。 当時の料理本にはトマトソースが登場しているし、明治28年創業の洋食の老舗 銀座「煉瓦亭」ではトマトソースとチーズを使った「マカロニ・イタリアン」というメニューが明治時代からあったという。

このような下地があったから、明治の終わりから大正にかけて登場したスパゲティも、「素麺またはスパケットを用い・・・」という代物ではあったにせよ、ごく自然にトマトソースと組み合わされたはずだ。

ところで、国産のトマトピューレが出来たのが明治36年、国産トマトケチャップは明治41年に登場している。で、当時はトマトピューレのことを「トマトソース」と呼んでいたらしい。ということは、故意か勘違いかはともかく、本来はトマトソースを用いるはずのイタリア伝来スパゲティを、トマトピューレでつくる料理人がいたとしても不思議はない。 さらに甘みがあってなじみやすいトマトケチャップを使うようになったのは時間の問題だろう。

たとえば、関東大震災のころからナポリタンを始めた「煉瓦亭」では、当時からトマトピューレやトマトペーストにケチャップを加えて作っていたという(戦前までイタリアンと呼んでいた) 昭和6年創業の日本橋「たいめいけん」でも最初はトマトピューレを使っていたが、後にケチャップを使うようになった。

しかも、「たいめいけん」では、スパゲティをケチャップで炒めるのではなく、まずケチャップを煮詰めてからスパゲティを入れる。 ご主人の茂出木雅章さんによると、「トマトピューレの酸味を取るために具と一緒に煮詰めるスタイルの名残」ということだが、ソースにパスタをからめる本来のトマトソース・スパゲティの名残でもあるのではないだろうか。

この「トマトソース変移説」に対してという異説もある。 トマトピューレやケチャップで炒めたチキンライスのほうが古くからあったから、「チキンライス応用説」、ご飯の代わりにマカロニやスパゲティを使った、というのだ。 そういえば「たいめいけん」のナポリタンは今でこそ海老や蟹もあるが、当初はチキンだけだったという。(※1)

いずれにしても、西洋文化をうまく取り込んだことには違いない。
 ただ「ニポリターノ」「イタリアン」などさまざまな名で呼ばれたように、その内容も多種多様であった「東洋軒」「精養軒」「中央亭」といった老舗の洋食店や横浜のホテル、あるいは外国航路の船のコックなどが、それぞれ自分の知識や流儀でナポリタンを解釈し、その名と味のバリエーションを広げたらしい。

たとえば、かつての「東洋軒」を知る自由が丘「キッチン・カントリー」の斎藤義正さんによると、「ナポリは海の町だからナポリタンに海老など海のものをたっぷり入れ、ミラネーゼには肉など里のものを入れる。ただ、どちらにもトマトソースがたっぷり入ったミートソースを使った」という。この店のナポリタンは、今でも海老入りミートソース和えだ。
 また、昭和初期の頃はまだトマトの味になじめない人も多かったらしい。「創業時からトマトペーストでナポリタンを作っていたが、トマトの酸味が苦手な人向けにトマト抜きの『ホワイト・ナポリタン』も用意していた。と昭和6年創業の赤坂「からす亭」ご主人の中島清隆さん。今でもホワイト・ナポリタンを注文する年配の客もいるとか。このような白いスパゲティを「イタリアン」と呼ぶ店も多かったようだ。

さらに、シーフードが基本のはずのナポリタンにハムなど里のものが入ったスパゲティも登場する。 その名も「コスモポリタン」(国際人の意)。 ナポリからイタリア、はたまた地球規模へとだんだん話が大きくなっていくところはまさにイタリア的!?

このように古くからあったナポリタンだが、「昔はマカロニのほうが人気があったし、ナポリタンが人気メニューとして定着したのは戦後、特に東京オリンピックの頃からでしょう」 とは「煉瓦亭」三代目のご主人、木田明利さん。 進駐軍がもたらしたケチャップによってナポリタンが広まり、さらに高度成長とともに一気に人気メニューとなった。その一翼を担ったのが、ペコちゃんの「不二家」であり、今はなき「オリンピック」などの大衆的レストランであった。

たとえば、「不二家」では昭和30年代に「スパゲティ・ウィンナー・ナポリタン」というメニューがあった。 ドミグラスソースとケチャップで炒めたスパゲティにウィンナーをのせ、粉チーズをふってオーブンで焼く。
ビーフシチューが250円だった時代に200円もした高級メニューだが、軽食では最も人気があったという。

中略

甘酸っぱいケチャップで炒めたゴロゴロした太いスパゲティに、粉チーズをたっぷりふって、口の周りを真っ赤にして頬張る。 アーリオ・オーーリオもいいけれど、たまにはナポリタンも食べたいでしょ。ね、隠れナポリタン・フリークのあなた。


以上、引用一部ほとんど引用終わり。<


大石氏の冒険記は如何でしたか?
私は多くの謎が解けて、「サッパリしたなぁ~」と叫びたくなりました。

アメリカの影響&加工肉の事があまり説かれていないのが少々寂しくもありますが、大満足の結果です。
なによりも、ナポリタンの歴史が戦前にまで押し上げられた事で多くの店、料理人の歴史が蘇ってくる事が大事なのですよ。
大石氏が開いてくれた扉の向こう側に、様々な歴史認識を楽しめる道が開けています。








※1
この“チキンナポリタン”は昭和8年に発行された『婦人倶楽部九月号附録 誰にでも簡単に出来る 家庭西洋料理全集』のなかに、当時「精養軒」司厨長であった松村源治氏によって似たレシピが載せられている。

>マカロニー・チキン

マカロニー(麦わらのやうに管になってるうどん)と鶏肉のトマトソース煮で、美味しくて栄養価も多いものです。お総菜には勿論来客にも結構です。
中略
うどんを代用するときは、やはり茹ですぎないやう、幾分固め加減に茹でて用います。
<以上


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2013-07-10 : ナポリタンの“謎”を追え : コメント : 13 :
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フゥ~ム ∞ ∞ ・・・・

読み終えたら腹が減った!

横浜発祥??のナポリタンでも喰うか。。。

2013-07-10 15:42 : kinchan60 URL : 編集
総集編
今日は
ナポリタンに掛けた気力と忍耐に感動致しました。
お気持ちはさっぱりとなさったことでしょう。
2013-07-10 17:50 : 相子 URL : 編集
完結編の序章ですよね?
2013-07-10 21:49 : はってばって URL : 編集
いや-この暑さの中 暑さに負けない熱い思いの困った探究心 すごい
2013-07-11 09:29 : EGUTI YOUSUKE URL : 編集
絶対にこの号はとってあるはずですが…見つからんデス(涙)

ちなみにメキシコ在住時のなのですが、キッチリ日本から送ってもらい日本まで持ち帰ったはずなのに…

というのはさておき、いよいよ大団円(?)ですかね(笑)
2013-07-12 22:54 : とも2 URL : 編集
ん~なんかすっきりしました!

私が弁当用につくり置きするパスタがあるんです。
パスタなのにつくり置き???
それはショートパスタを玉ねぎや人参・ピーマンとハムかソーセージと炒めて、
ケチャップとソースで味付けしたものです。
何故だかご飯に似合うんですよね~
そういえば始めて外で食べたスパゲティーはお子様ランチについてたやつかもしれない。
もしかしたら庶民のスパはご飯のおかずだったのかもしれませんね。

2013-07-13 12:16 : ちゅんご URL : 編集
Re: タイトルなし
>kinchan60さん

返信遅くなりました。m(_ _)m
忙しいのと暑さでバテバテです~

そんな時こそ、ナポリタンロッソをオススメいたします。(笑
ケチャップは甘くて食欲が湧かないので、トマトソースでたっぷり海鮮なんて如何でしょうか?
桃山のナポリタンが良いかも。
2013-07-13 21:10 : いその爺 URL : 編集
Re: 総集編
> 相子さま

大石氏が開いてくれた扉が 今一度開かれる事を望んでいます。
さて? その扉の先に・・・・・面白い歴史の世界が開けているような気がして仕方がありません。

此からですよ~(笑
2013-07-13 21:15 : いその爺 URL : 編集
Re: タイトルなし
> はってばってさん

V(^^)
2013-07-13 21:16 : いその爺 URL : 編集
Re: タイトルなし
>EGUTI YOUSUKEさん

この暑さの中・・・完全にグロッキーとなりました。
とりあえず仕事に行く事が大優先の生活を送っています。

ほんとに辛いわ~ (笑
2013-07-13 21:18 : いその爺 URL : 編集
Re: タイトルなし
>とも2さん

あ~~ やっぱり知っていたんだぁ~   早く教えてくれれば良いのに~(笑
と言いながら、おかげさまで四年間楽しませて頂きました。

大団円は未だ未だ先でしょうね。
取りあえずは、1996年の認識に戻るって事です。
歴史には正解が無い、これが面白いところでしょうか?(苦笑
2013-07-13 21:25 : いその爺 URL : 編集
Re: タイトルなし
>ちゅんごさん

ご飯のお供パスタにはソースは不可欠の様なきがします。
国産ウースタの開発歴史なんて見てしまうと・・・・ワクワクしちゃいますよ。
最初は。。。。。醤油が原材料だったりしてます。(笑

ご飯に合うのが洋食ですね。
あっ! ソーライって知ってます?
ライスにウースタソースを掛けたら、ソーライだそうです、ただそれだけ!(笑
2013-07-13 21:29 : いその爺 URL : 編集
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2013-07-14 12:00 : : 編集
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プロフィール

いその爺

Author:いその爺
横浜在住
五十路で早くも爺さんになちゃった。
“食”“写真”“郷土”が好きです。

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