6

マカロニ、ア、ラ、ミラネー

明治38年 「欧米調理法全書」という調理書は戦前の料理の世界では
大きな影響を及ぼした書ではないかと考えるようになってまいりました。

よろしければ、「ナポリタン年表」を開いて下さい

先日 書きました「マカロニ,リタリーン」は祖先をフランスに持つレシピと受け止めることが出来ると思います。

もう一つの「イタリアンスタイル,マカロニ」はアメリカにその起源を求められると考えるのですが、
この「イタリアンスタイル,マカロニ」はトマトを使っておりません。
しかし ハムを使ったレシピなのです。
ナポリタンの具としての起源 ヒントはこのレシピにあるかもしれません。

其の前に一つ見落としてはいけないレシピがあります。

「マカロニ.ア.ラ.ミラネー」

▲マカロニ、ア、ラ、ミラネー (Macaroni 醇A la milanaise)  マカロニを、マカロニ、ア、リタリーンと同《おなじ》法にて煮、トメートソース(其二)を入れて温《あたゝ》め、之に薄く切りたるマツシユルーム六
P112
つ分《ぶん》とスモークト、ビーフ、タング(牛の舌)の煮《に》たるを糸《いと》に切《き》りたると、チースを粉にして半杯《カツプ》とを加ふ


このレシピではタンでありますが加工肉を具として使用しております。

もう一つのレシピ。
主婦之友 昭和25年11月号付録「料理のつくり方・家庭料理500種」の中に紹介されているという。

「ミラノ式スパゲッティ」

p_20100126213207.jpg


これは、作家 片岡義男氏著「ピーナッツ・バターで始める朝」の中“ナポリへの道はまだ続く”の中で,
ナポリタンの原型と推測され紹介されている。


> お菜にも主食にもなる麺料理です。
本式にはスパゲッティを使いますが、御家庭ではうどんで代用しましょう。
(材料) 茹でだしうどん七玉、バタ大さじ三杯、ハム四十匁、おろしチーズ大さじ三杯。
(作り方) スパゲッティや干うどんなら、たっぷりの熱湯で軟らかく茹で、笊に上げて水気をきったのち、上からざあっと水をかけてよくさらします。
大きな鉄鍋かフライ鍋にバタを溶かしてスパゲッティまたはうどんを加え、両手に箸を持って上手にさばきながら炒めます。
トマトケチャップ五勺を煮立てた中でみじん切のハムをちょっと煮たら、ハムごと炒めたうどんのなかに加え、塩、胡椒で好みに味を整えます。
のままでもいただけますが、おろしチーズをふりかけるとずっとお味を増します。


如何でしょう?
明治38年の「マカロニ、ア、ラ、ミラネー」と昭和25年「ミラノ式スパゲッティ」に繋がりを感じませんか?

トマトソースはケチャップとなり、牛たんはハムと姿を変えております、
そして麺をバターで炒め
、スパゲッティに変わり饂飩でも良いと書かれております。

明治38年のレシピは時代の要求と趣向い合わせて昭和25年まで姿を変えて受繋がれているのです。

氏はこの本の中で、この「ミラノ式」こそがナポリタンの原型ではないかと推測しておられるのですが、
私は「欧米調理全書」の中で“ミラネー”と紹介」されている以上、
残念ながらこれは非常に近い亜種として生まれたレシピで、ナポリタン本流では無いと推測していまうのです。

しかし此処に明治38年から昭和25年の間に、トマトソースはケチャップとなり、牛たんはハムと姿を変え、
麺をバターで炒めるレシピの変革が表されています。
此処に変革の流れはシッカリと示されてはいると、不思議な確信を感じてしまうのです。

なぜ?“ミラネー”なのか?
片岡氏はこの本の中で、根拠は無いのではないかと推測されるのですが、
私は少々 想像をたくましくしてみました。

「トンカツ」「カツレツ」

yutaka.jpg

日本におけるこの洋食は、1890年(明治23年)に銀座の『煉瓦亭』が考案したそうな。
(『煉瓦亭』さん凄いな。。。昔に一度行った事があるだけで。。。行かなきゃなりませんね。汗)

カツレツの語源となった、cutlet という単語は単に肉の小片、あるいは各種の食材を混ぜ合わせて成型した料理を指すものであり、パン粉の衣をつけて油で揚げる調理法を意味するものではないのだそうだ。

そして、カツレツといえば有名なのが“ミラノ風カッレット”。

レシピを訳す時に牛タンをcutletとするという単語が出てきて、
cutlet=ミラノなんて発想を招いたのではないかと。。。。。。(汗

まぁ根拠はないのですが推理を楽しんでみたしだいです。m(_ _)m

マカロニ・ア・ラ・ミラネーのレシピ。。。
明治から昭和へ。
ナポリタンは時代の要請と趣向を受け止めて変換を遂げている、
そんな 確信を持つしだいであります。



スポンサーサイト
2010-01-26 : ナポリタンの“謎”を追え : コメント : 7 : トラックバック : 0 :
コメントの投稿
非公開コメント

No title
こんばんは~

銀座の『煉瓦亭』、一度は行ってみたいお店なんですよね~~
洋食発祥のお店と聞いたら、もっと行ってみたくなりました~~(^^)
2010-01-27 21:42 : BiBi URL : 編集
Re: No title
>BiBiさん

> 銀座の『煉瓦亭』、一度は行ってみたいお店なんですよね~~

随分と昔に一度しか行ったことなくて、記憶が不鮮明なのですが、
良い感じぃ~みたいな思い出が残っております。

近いうちに再訪したいと考えています、
その時はアップしますからね!
2010-01-27 22:40 : いその爺 URL : 編集
No title
なるほど、カツレツって、衣が付いた物だけではなかったんですね。

Cutlet (derived from French côtelette, côte ("rib"))

Cutletは英語でフランス語から 由来されているそうで、
世界各国でさまざまな料理に変化しているみたいです。

あー、そういえば、昭和の時代のコロッケは、美味しかった気がする。
でも、今食べると胸焼けするだろうな?
懐かしいです。
2010-01-28 10:57 : ゴルッテリア URL : 編集
No title
以前、東京に勤めていて、よく銀座に遊びに行ったのに
「煉瓦亭」行ったことないんですよ~。
いつも行くたびに行列が出来ていて、、、
でも、頑張って一度くらい行っておけばよかった。。。

そうそう、
カツレツって言葉、
私もこっちにきて、初めて肉の小片の意味と知りました。
外来語でも意味の変わっちゃってる言葉って
たくさんありますよね。
2010-01-28 18:40 : kovachan URL : 編集
Re: No title
>ゴルッテリアさん

> Cutlet (derived from French c醇stelette, c醇ste ("rib"))
>
> Cutletは英語でフランス語から 由来されているそうで、
> 世界各国でさまざまな料理に変化しているみたいです。

もう!
英語だけでなくてフランス語もいけるんじゃありませんか?(笑
カツが揚げ物じゃないなんて少々混乱してしまいますよね。

> あー、そういえば、昭和の時代のコロッケは、美味しかった気がする。
> でも、今食べると胸焼けするだろうな?
> 懐かしいです。

脂は今より悪かった気がしますが、その分香りはもっとした気がしませんか?
中のジャガイモは今より数段美味しかった想いがします。
2010-01-28 22:53 : いその爺 URL : 編集
Re: No title
>kovachanさん

> いつも行くたびに行列が出来ていて、、、
> でも、頑張って一度くらい行っておけばよかった。。。

えぇーー!
それは 勿体無いじゃないですか!(笑
うふふ  爺が変わりに行っておいてあげるね。

v-219 ゴルッテリアさんになってしまいました~
爺が名代を仕りますわ!と訂正いたします。

> カツレツって言葉、
> 私もこっちにきて、初めて肉の小片の意味と知りました。

小片って感覚的にパスタにいれるハム位の大きさを意味するのかしら?
その辺がkovachanさんみたいに普段英語を使って生活する人と
チョイと調べただけの爺の差でありますよ。(涙

これからも英語の教授を御頼みしますぞぉ。
2010-01-28 23:12 : いその爺 URL : 編集
No title
タンがハムに変わったというのは面白いが結構納得行ってる僕が居る・・・(;´Д`)

ただ、気になるのはスパゲティーを使うがうどんで代用・・・の記述。
この時期にはマカロニでは無くスパゲティーに変わってる所がミソですね。
つまりスパゲティーありきで描かれているという点ではこの間にもう一つのレシピが存在すると。
トマトソース→ケチャップと同じく、マカロニ→スパゲティーに変わるのも何かが存在してそうなったと思うんです。

カツレツは食いに行きたいです。
2010-01-29 11:11 : ニーゲム大戸木 URL : 編集
« next  ホーム  prev »

プロフィール

いその爺

Author:いその爺
横浜在住
五十路で早くも爺さんになちゃった。
“食”“写真”“郷土”が好きです。

FC2カウンター